『愛のなくなる瞬間』
それは本当に一瞬で
失くさないように…
なんて考える暇もなかった
空から落ちてきた隕石を見て
あれはなんだろう?
なんて思ったときにはもう見失っている
そしてもう思い出せない
どうやってその人を愛していたのか
どうしてその人を愛したのか
窓からやわらかな風が吹き込んで
「あぁ、春だなぁ。」と思っても
二人で共有する幸せはもう生まれない
本当はとっくに知っていた気がする
話しかけると嬉しそうにするその人にとって
わたしの声はただの音でしかなかったことを
本当に一瞬だった
僅かにバランスを崩した小さな塊が
お腹の底まで落下して 爆発した
そしてその瞬間
白く清らかな感覚がわたしの全身を駆け巡り
気がつくと 隅々まで洗い流されたあとだった