『浸る』
逃げだと言われれば、逃げです。哀しくなったら僕は静かに目を瞑ります。そうすることに何の感情も抱きません、自然なのです。そよ風に額を撫でられながら、暗闇の中に閉じこもり自分は生きていないことにするのです。正しくはないです、楽しくもないです。でも、たぶん、優しいです。あなたの想像する優しさではないのでしょうけど。逃げは恥だとか、甘えだとか言ってた人がいた気がするけど、いいじゃないですか。誰も傷つかず傷つけず、ただ癒えてゆきたいのです。いつか瞼が柔らかくなって、隙間から漏れてきたさやかな光に呼ばれるまで、僕はここでこうしています。