『ある生徒の頃』
中学の頃の夢を見た
図書室で何気なく過ごした日々が
教室で何気なく交わした言葉が
今さらに語りかけてきた
なんとなく終わっていった
あの些細な日々を 言葉を
幸せと呼んでもいいのだと
今になって解った
消えてしまえと思っていた
いつも少ししんどくて
いつもどこか不安定で
楽しそうな人が羨ましかった
求められたあるべき姿は
全然心に馴染まなくて
けれど 揺るぎない自我もなくて
時計の針が早く進むことばかり願っていた
ふつうに馴染めない自分の自信は削がれて
ふつうの型に一生懸命収められていた
辛さも良いものとして強制され
生きていることが窮屈で仕方がなかった
けれど
あの頃のちっぽけな自分にも
穏やかで柔らかな瞬間が
自分として過ごせた瞬間があった
あぁ ほんとうによかった