『春の雲』
消せなかった思い出が今日も空に浮かんでいます。
だれか、私のやさしくない部分を愛してください。
やさしいところは私が愛せるので、
私の愛せない部分を愛してください。
やわらかな春の風のような潤いを
どうかわたしに与えてください。
けれども、「愛してる。」なんて決して言わないでください。
わたしの鼓動は乱さないでください。
春には春のリズムで、おぼろげな雲のように
不確かなものでいたいのです。
どんなものもうっすらと平等に包み隠し
平凡から外れないように調光する。
それが本当の愛ということにしましょう、今日のところは。