『イト』
太陽が沈むと電気をつけるみたいに
寂しくなったときには
赤い糸に頼りたくなる
けれどこの糸を手繰り寄せても
その先端にはだれもいない
「まだいない」なのか
「もういない」なのか
とにかく「今はいない」
寂しさに覆われる度に
運命に出会おうと期待しては
誰とも繋がれない自分という
寂しい自分よりも可哀想な自分を見つけて
少し安堵してしまう不思議
この糸の先を誰かに結びつけたいのだけれど
そんな強引はいいのだろうか
いや よくない気がするので
いっそ遠くへ投げて
釣りでもするみたいに少し揺らしておきます
誰かと繋がりたい人の合図として