『世界は世界として』
水の中でしか生きていけない魚にとって
世界とは水の中のことであって
水の中や外なんて区別はなくて
ただ彼らの知る世界が世界として存在する
水の外でしか生きていけない蝶にとって
世界とは水の外のことであって
川や海の中なんて興味はなくて
ただ彼らの知る世界が世界として存在する
水の中も外も知る私たちにとって
水の中も外も世界であるけれど
私たちがまだ知らないだけで
どこかにまた別の世界があって
いつか私たちの中の誰かが辿り着き
今よりも少し広くなった世界を
世界と呼び始めるのかもしれない